親族
1 親族の範囲
・一定の親族関係や婚姻・養親子関係ある者相互身分関
係を親族という。
・親族関係は、出生により発生し、死亡によって終了す
って終了する法定血族関係がある。
・親族の範囲は6親等の血族、配偶者、3親等内の姻族
と定められている。
・親等というのは、親族関係が近いか遠いのかの尺度。
・親等の計算は、直系の場合は親族間の世代数を数え、
傍系の場合はその1人または配偶者から同一祖先をさ
かのぼり、その祖先から他の1人に下るまでの世代数
を数える。
・傍系のおい・めいの場合、共通祖先である父母(1親等)
にさかのぼり、そこから兄弟姉妹(2親等)に下り、さ
らに、おい、めいはその子であるので親等1つ増えて3親
等となる。
2 夫婦
(1)婚姻の成立要件と婚姻の無効・取消し
①婚姻の成立要件
・実質的な要因として婚姻意思、すなわち当事者間に社
会通念上夫婦であると認められる関係を築く意思がな
ければならない。
・単に届出をする意思ではなく、実質的に夫婦関係を形
成する意思であることを要す。
・形式的な要件として婚姻の届出をすることが必要。
・婚姻の届出は、当事者及び成年の証人2以上から口頭
または署名した書類でしなければならない。
・婚姻の届出が受理された時点で婚姻が成立する、(創
設的届出)、戸籍簿への記載は結婚成立の要件ではな
い。
②婚姻の無効
・婚姻意思の存在という実質的要件または婚姻の届出と
いう形式要件満たさない婚姻は無効となる。
・成年被後見人も意思能力を回復している限り、成年後
見人の同意なく婚姻することができる。
③婚姻の取消し
〇婚姻適齢
・男は18歳、女は16歳(父母の同意が必要、父母
の一方同意しないときには、もう一方の同意があれ
ばよい。
・父母の同意を得ていなくても、婚姻の取消し要因と
はならない。
・父母の同意がない結婚届出が受理されてしまうと、
婚姻は取消すことができない。
〇重婚の禁止
・配偶者のある者は重ねて結婚することはできな
い。
・婚姻とは法律上の婚姻なので、婚姻している者が
内縁関係を結ぶことは重婚にはあたらない。
〇再婚禁止期間
・結婚の解消または取消しの日から6ヶ月を経過し
てなければ結婚することはできない。
・前婚の解消または取消しの日から懐胎していたと
きは、6ヶ月経過していなくても出産日から結婚
できる。
〇近親婚の禁止
・直系血族または3親等内の傍系血族の間では結婚
できない。いとこ同士は結婚できるは、おじとめ
い、おばとおいは結婚できない。
・直系尊属の間では離婚しても結婚できない。
・配偶者または養子の直系卑属もしくはその配偶者
の養親またはその直系尊属の間では離婚はできな
い。
女子Aが男性Bの養子となった場合、ABは離縁した
後でも結婚できないし、夫C、妻D夫婦が男性Eの養
子となった場合、CとDが離婚し、かつ離縁後であ
ってもDとEは結婚できない。直系姻族間では姻族
関係が終了した後であっても婚姻できない。
(2)婚姻の効力
婚姻することにより当事者間の夫婦関係が形成さ
れ、次のような身分上、財産上の効力が生ずる。
①夫婦は、婚姻の際定めるところにより夫または妻
の氏を称する。
②夫婦は、同居し、互いに協力し扶助する義務を負
う。
③未成年者が結婚すると成年に達したものとみなさ
れる。
④夫婦間で婚姻中にした契約は、いつでもその一方
から取消すことができる。
⑤夫婦の財産関係
・夫婦が婚姻届出前に、その財産関係について定
める契約をしたときは、その契約に従って結婚
後の財産関係が処理されるが、契約がなければ
次のように民法の規定に従った財産関係が生ず
る。
・夫婦の一方が婚姻前から有していた財産および
婚姻中に自分の名で取得した財産は、その特有
財産となり、夫婦いずれかに属するか明らかで
ない財産は共有財産と推定される。
・夫婦は婚姻から生ずる費用を分担しなければな
らない。
・夫婦の一方が日常の家事に対して第三者と法律
行為をしたとき、他の一方はこれによって生じ
た債務について連帯して責任を負なければなら
ない。第三者に対して責任を負わないことを予
約した場合は、責任を負わなくてもよい。
(3)婚姻の解消
いったん完全有効に成立した婚姻が終了することを
いう。
①離婚の種類
民法に規定する協議離婚と裁判離婚及び家事審判法
の規定による調停離婚、審判離婚がある。
・協議離婚
協議離婚は、離婚する意思の合致とその旨の届出
により効力を生じる。
・裁判離婚
裁判所の判決によって生ずる離婚で、認められる
場合は離婚の原因の存在が必要
不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、回
復の見込みのない精神病、婚姻を継続しがたい重
大な理由(婚姻の破綻という結果さえ存在すれば離
婚を認めるということで、これを破綻主義とい
う。
②婚姻解消の効果
離婚に伴って、婚姻関係は終了する。
・死亡による婚姻解消の場合は、生存配偶者と死亡
した親族間の姻族関係は終了しない。
・生存配偶者が姻族関係を修了させる意思表示をし
てはじめて姻族関係が消滅する。
・婚姻の際氏を改めた夫または妻、婚姻前の氏に復
するのが原則だが、離婚の日から3ヶ月以内の届
出ることによって、離婚の際の称していた氏を称
し続けること。
ができる。生存配偶者が戸籍の復氏届を出せば婚
前の氏を称することになる。
・夫婦のいずれか一方が他方に対し財産分与の請求
ができる。
・財産分与の額や方法は、家庭裁判所に対して協議
に代わる処分をすることができる。
3 親子
・実親子と法律に基づく養親子関係があり、実親子の関係
は、さらにその子か嫡出子か非嫡出子か区別される。
(1)嫡出推定
婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定される。婚姻の日か
ら200日経過に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと
推定される。婚姻解消もしくは取り消しの日から300
日に生まれた子も婚姻中の懐胎したものと推定される。
推定に対して有効な反証がある場合は夫だけが「嫡出否
認の訴え」により自分の子であることを否認できる。
・夫が子の出生を知った時から1年以内に「嫡出否認の
訴え」を提出しなければならな
い。
・夫婦としての実態を失っている場合は推定されない。
②推定されない嫡出子
・嫡出子に対して自分の子であることを否認する場合
は、「親子関係確認の訴え」によることになる。
(2)認知
認知とは非嫡出子を自分の子であると認めること。認知に
は任意認知と強制認知がある。
①任意認知
届出ることによってなされるのが原則であるが、遺言に
よってもすることができる。
未成年者や成年被後見人も法定代理人の同意なく、認知
することができる。父は、胎児を認知することができる
が、母の同意を必要とする。
②強制認知
父または母が認知をしない場合、子もしくはその直系卑
属がまたはこれらの者の法定代理人は認知の訴えを提起
することができる。子の父に対する認知請求権は放棄す
ることはできない。認知請求権は父、母死亡の日から3
年を経過すると行使できなくなる。
(3)養子縁組
養子縁組には、実の血族と親族関係を存続させないまま養
子となる「普通養子」と実の血
族と親族関係を存続させない「特別養子」がある。
①普通養子
〇養子縁組の成立要件とその無効・取消し
・養子となる意思が必要
・届出をしなければ有効にならない。
・養子となる者が15歳未満ときは、その法定代理人
がその者に代わって縁組の承諾することができる。
〇養子縁組についての障害理由
・養親は成年に達している必要がある。
・養子となる者は、養親の尊属または年長者であって
はならない。
・後見人が被後見人を養子する場合は家庭裁判所の許
可が必要。
・未成年者を養子とする場合は家庭裁判所の許可が必
要。
・配偶者のある者が未成年者を養子にする場合は夫婦
がともに養親になることが必要。
・配偶者のある者が縁組をする場合は、配偶者の同意
が同意が必要。
〇縁組の効力
・養子は、縁組の日から嫡出子たる身分を取得し養親
の氏を称する。
・養子は養親の親権に服することになる。
・養子と養親の血族間においては、養子縁組の日から
血族間におけると同一の親族関係が生ずる、
・養子と実方の自然血族関係は、そのまま存続する。
〇離縁
・協議離縁と裁判離縁がある。
・裁判離縁の原因には、悪意の遺棄、3年以上の生死
不明、その他縁組を継続し難い事由がある等
(4)親権
親権とは、親が子に対して持つ身分上・財産上の監督、保
内容する権利義務。
・具体的には、子の居所の指定、懲戒権の行使、職業の許
可、財産管理等
・成年に達しない子は、父母の親権に服する。
・父母が婚姻中のときは父母が共同して親権を行使する。
・成年に達したものが婚姻した場合は、成年に達したとみ
なされるので、親権に服さなくなる。