国家試験受験のための商法⑯
匿名組合
営業に対する出資
〇匿名組合の意義
・当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、相手方がそ
の営業から生ずる利益を分配することを約束する。
・出資する者は「匿名組合員」といい、匿名組合員は商人でな
くてもよいが、出資を受ける営業者は商人でなければならな
い。
・民法上の組合ではない。
・匿名組合員間には、法律関係は生じない。
〇匿名組合員及び営業者の権利義務
・匿名組合員が出資した財産は営業者の財産の属する。匿名組
合員が出資した財産を共有することや、持分を有することは
ない。
・匿名組合員は、営業者者の業務を執行することや、営業者を
代行することはできない。
・営業者が事業運営にあたり、匿名組合員に対して営業から生
ずる利益を分配する義務を負う。
・匿名組合員は、営業者がした行為について、第三者にして権
利義務を有することはない。
・匿名組合員が①自分の氏や氏名を営業者の商号(会社名)の
使用すること、又は②匿名組合が商人の場合に、自己の商号
を営業者の商号として使用することを許諾した場合は、使用
以後に発生した債務については、匿名組合員は営業者と連帯
して弁済する責任を負わなけらばならない。
〇匿名組合契約の終了
・各当事者は、6カ月前までに予告することにより、営業年
度の終了時に契約を解除することができる。
・やむを得ない事由がある場合、いつでも解除することがで
きる。
・匿名組合の目的である事業の成功又はその成功に不能のと
きや営業者が死亡・後見開始の審判を受けたこと、営業者
又は匿名組合員が破産手続き開始決定を受けたことにより
匿名組合員契約は終了する。
・匿名組合員契約が終了したときは、営業者は匿名組合員に
対し、その出資の価額を返還しなければならない。
仲立営業
〇仲立人の意義
・仲立人とは他人間の商行為を媒介することを業とする者
・媒介とは、法律行為の成立に尽力すること。
・仲立人は、自分が契約の当事者となることなく、他人間で商行
為が成立することに尽力する者
・自分が契約の当事者となる「問屋」や自分は契約の代理人「締
役代理商」とは異なる。
・「媒介することを業とする」とは、媒介の引受けを営業するこ
とをいう。
・媒介の引受け行為は営業的商行為に該当する。
・媒介の対象となる行為は、契約当事者の一方にとって商行為で
あれば足りる。
・仲立契約には、「双方的仲立契約」「一方的仲立契約がある。
・双方的仲立契約は、委託者と仲立人双方が義務を負う。
・一方的仲立契約は、委託者のみが義務を負う。
〇仲立人の義務
・善管注意義務
契約を成立させるために善良なる管理者の注意義務を負う。
・見本の保管義務
媒介する行為について見本を受け取ったときは、その行為が完
了するまで見本を保管しなければならない。
・契約書の作成・交付義務
媒介によって当事者間に契約が成立したときは、仲立人は遅滞
なく、各当事者の氏名・名称、契約成立日、契約の要領を示し
た「結約書」作成し、署名又は記名押印をして、各当事者に交
付しなければならない。
・帳簿の作成・謄本の交付義務
仲立人は、帳簿を作成して、結約書の記載事項を帳簿(仲立日記帳)に記載しなければならない。当事者から請求があれば、いつでもその帳簿の謄本を交付しなければならない。
・仲立日記帳は10年間保管しなければならない。
・当事者の氏名・名称の黙秘義務
当事者が相手方に示さないように命じたときは、仲立人は結約
書及び謄本にその名称・氏名を記載することができない。
・仲立人の履行義務(介入義務)
仲立人が当事者の一方の氏名・名称を相手方示さなかったとき
は、その相手方に対し自ら履行する義務を負う。
〇仲立人の権利
・報酬請求権
仲立人の介入によって契約が成立し、結役所の手続きが完了し
たことが必要。
・給付受領権の有無について
仲立人は、契約の成立尽力するという媒介行為を行うだけなの
で、別段の意思表示又は慣習がない限り、当事者のために支払
その他の給付を受けることはできない。