国家試験受験のための商法③
商号とは、商人が、その営業活動においては、自己を表示するための名称
1商号制定自由の原則と制限
商法では、商号選定自由の原則が取られている。
(1)取引の安全のための制限
会社でない者(個人の商人)は、その名称又は商号中に
「〇〇会社」のような、会社であると誤認されるおそれのあ
る文字を用いてはならない。
(2)他の商人の営業上の利益保護の原則
何人も不正の目的をもって、他の商人や他の会社であると
誤認させるような名称・商号を使用してはならない。
(3)特別法による制限
銀行、保険などを営む者は、その文字を商号中に付さな
ければならず、逆にこれらの業務を営む者は、商号中に
これらの文字を付してはならない。
(4)商号単一の原則
個人商人の場合、1つの営業について1つの商号を用い
ることができる。これを「商号単一」の原則という。
(5)商人は、その商号を登記することができる。
2商号権の意義と内容
(1)商号権とは、商人が、その商号について有する権利をい
う。
・商号を他人に妨げられずに使用することのできる商号使
用権
・他人が不正使用する同一又は類似商号を排除できる商号
占有権
・商号権は登記の有無にかかわらず認められる。
・商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害
されるおそれがある商人は、その侵害者に対して、侵害
の停止または予防を請求できる。
(2)不正競争防止法による商号の保護
周知性(広く認識されている状態)が認められる場合、主
観的な不正目的が立証できなくても、同法による商号使用
の差し止めと損害賠償の請求が認められる。
(3)名義貸しとは
名板貸し人A(商人。同種の営業)が、名板借人B(商人同
種の営業)に自己の商号を使用して営業又は事業を行うこ
とを許諾すること。
・Bの取引の相手方でCが、Aが営業主と誤認して取引しま
ったときは、AはBと連帯をして責任を負う。ただし、C
に重過失がある場合はAは責任を免れる
・名板貸人の責任が成立するための要件
①名板貸人が自己の商号を使用して営業を行うことを名
板借人に対して許諾(黙示的でも)したとき
②第三者が名板貸人を営業主と誤認して名板借人と取引
した。
③名板借人が名板貸人から独立して営業又は事業を行う
こと
④名板貸人の責任の範囲は、直接生じた債務のほか、債
務不履行による債務不履行による損害賠償義務や現状
回復義務も含まれる。
(4)名板貸人の責任の効果
名板貸人は(A)は名義貸しをした(B)と連帯して、取
引相手(C)に対する弁済責任を負う。
(5)商号の譲渡とは
・商号には財産的価値が認められる。商号を譲渡すること
も可能である。
・商号の譲渡については、営業譲渡と一緒に行う場合にの
み認めている。